BigCommerce の商品カタログを Google で
2021年10月21日、Google は ECプラットフォームの BigCommerce との提携を発表しました。
これにより、BigCommerce のマーチャントは自社の商品カタログを Google にマーチャントセンターに同期し、無料ショッピングにシームレスに掲出することが可能になります。
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BigCommerce はたびたび Shopify と比較されるECプラットフォームのメジャープレイヤーの1社です。(上場しているからというのもありますが)
利用しているマーチャントは上記の記事では 約 60,000 と記載されており、この数字は Shopify や日本の BASE と比較すると桁が 2 つ少ないので小粒に見えますが、builtwith のデータを見るかぎり BigCommerce を利用したことのあるサイトの累計が約 15 万で、現在実際に稼働しているサイトが約 5.5 万と表示されている(2021年10月21日時点)ため、約 60,000 という数字はのべアカウント数ではなく実際の稼働数を表わしているのではないかと推測できます。
BigCommerce は B2B への進出が Shopify よりも早く、よりエンタープライズ寄りの戦略をとっているように見えます。仮にマーチャントの平均ビジネスサイズが相対的に大きいとすると、マーチャントの数では他社より少なくとも、SKU やトランザクション数も同じように少ないと判断するのは早計かもしれません。
Shopify もやや直接的な表現の LP を堂々と公開していますし、比較対象として強く意識していることは間違いないでしょう。
主要プラットフォームとの接続が完了した Google
今回の提携で、Google は 主要な EC プラットフォームとほぼすべて接続を果たしたことになります。
REWIRED でも過去何回かこの話題は取り上げてきました。
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日本の BASE も2021年10月に「Google 商品連携・広告 App」の提供を開始し、海外のECプラットフォームと同様のシームレスな Google 連携が可能になっています。
それ以外のプラットフォーム・カートの多くも、(手前味噌ですが!)EC Booster を利用することで接続や最適化が可能なことから、Google の連携カバレッジは事実上すでにかなりの範囲にまで及んでいることがわかります。
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接続が終わったあとに
Google がほぼすべての EC プラットフォームと接続が済んだあとに何が起きるのか、少し考えてみたいと思います。
以前、以下の記事で Shopify のアプリストアのネットワーク効果について書きました。
参考記事
ネットワーク効果は、プラットフォームを通じて2種類のグループが互いに引きつけられる構造によって表わされます。
Google が目指しているのは、EC プラットフォームを利用しているマーチャントが増えることで Google の無料リスティングへの掲載が当たり前になっていく「Same Side Network Effect(サイド内ネットワーク効果)」と、無料リスティングの掲載が増えることでトランザクションが増え、掲載先のパブリッシャーとマーチャントが相互に影響しあう(その後広告需要に発展する)「Cross-Side Network Effect(クロスネットワーク効果)」の2つのネットワーク効果が賦活されることで、Google Merchant Center が唯一無二のカタログプラットフォームになっていくという世界線です。
※「掲載先のパブリッシャー ≒ Google」なので、不動産でいう両手取引にあたるのがアレですが
上記は二面市場(Two-side-market)と呼ばれますが、この論理で考えると、クロスネットワーク効果が発揮できるかどうかは、各 EC プラットフォームに参加しているマーチャントが Google の無料ショッピングの集客効果を実感できるかどうかにかかっているのではないかと思います。
なぜなら、無料ショッピングの集客効果が実感できないと、マーチャントは広告を利用するインセンティブを感じにくい( Google はアップセルがしにくい)ですし、接続によって集客→トランザクション増の図式がつくれないと、各 EC プラットフォームは Google に接続するメリットがないからです。
そうなると、Google がプラットフォームとしてすべきことは、この集客効果を作り出すための掲載面(パブリッシャー側)の拡張と改善(≒カバレッジ/デプスの強化)になると思います。
幸い(?)、二面市場の片側(掲載パブリッシャー側)はほとんどが検索や動画など Google の自社プロパティのため、ある種のマッチポンプ的にネットワークを賦活させることができます。 つまり、Google ショッピングの無料配信面を増やしつつ、有料配信面との棲み分けを進めていくという動きになるのではないかと想像できます。
そう考えると、ますます既存の広告製品と Google Merchant Center との接続は強化されることになるはずです。今年もホリデーシーズンが近づいてきましたが、今後も新たに発表される広告プロダクトは、コマースの機能が優先的に配置されたものになるのは想像に難くありません。
そして、おそらくそのような動きは Google に限ったことではないと思います。Instagram や Tiktok 、Pinterest などのソーシャルネットワークも EC 機能を強化させていますが、今後ますますプラットフォーム間の接続は活況を呈してくることでしょう。引き続き注目していきたいと思います!