【今日のひとこと】いちばんやさしいShopifyの教本、発売開始みたいです〜!

リテールメディアはECサイトの次の収益源になりうるのか? 〜CriteoのMabaya買収から考える

Criteoがリテールメディア支援のMabayaを買収

2021年5月20日(日本時間で5月21日)、リターゲティング広告で有名な Criteo がリテールメディア支援の Mabaya を買収したと発表しました。

参考リンク:

サードパーティCookieの賞味期限が近づくとともに Criteo の主力事業だった動的リターゲティングには逆風が吹いていましたが、ここ数年力を入れてきたリテールメディア戦略は着実に実を結びつつあるようです。

2020年は前年比53%の大幅な伸長(リテールメディアセグメントのみ)を示し、最新の四半期(2021年1−3月期)では、前年同期比で122%まで急成長しています。収益全体ではまだ12%程度のようですが、逆に言えばあれだけの規模の会社でありながらたった2-3年で全体の1割以上もの売上を担う規模に成長させた新規事業だともいえます。

今回の Mabaya 買収は、彼らのリテールメディアの成長をさらに加速させるための明快なメッセージです。Criteoはリテールメディアに代表されるリターゲティング【以外】の事業を2022年中に売上の40%程度まで持っていきたいともコメントしており、新規事業への力の入れようが伺いしれます。

リテールメディアとは何か

では、そもそもリテールメディアとは一体何なのか。

ものすごーくざっくり言えば、リテールメディアとは、Eコマースサイト、特にリテール(小売:直販ではない)を行うショッピングモール的なサイトやアプリに広告を掲出できるサービス全般を指します。

言葉で説明してもわかりにくいので、Mabayaのデモ動画を見てもらうのが手っ取り早いと思います。

Mabayaのデモ動画。こちらでも見れます。

見ていただくとわかりますが、要するに Amazon でいうところのスポンサープロダクト広告です。

ECサイト内で検索したり、特定の商品カテゴリを見ている時に隣に表示されている関連広告、あれが自社のメディアでもできてしまうというものです。

Amazon広告を実施したことがある方はご存知かと思いますが、スポンサープロダクト広告はハマるとコンバージョン率がえげつないです。実店舗でいえば棚に指してある目立つPOPやレジ前の一等地みたいなものなので当たり前といえば当たり前かもしれません。

Criteoへの入稿にはプロダクトデータが必須ですので、リテールメディアでは製品カテゴリのみならずSKU単位で詳細なマッチングが可能です。Amazonの広告セグメント(は2021年5月時点では公表されていないので正確には「その他」セグメントですが)は劇的な伸びを示していますが、それと同じことが自社でもできれば、、、と考えるリテーラーは多いはずですので、Criteoのリテールメディア戦略はそのニーズをうまく捉えているといえるでしょう。

リテールメディアは三方よし

リテールメディアの成長の背景に2020年以降のコロナ禍の影響があるのは間違いありませんが、それ以上に、ビジネス構造としてどのプレイヤーともトレードオフの関係にならない、どのステークホルダーにとってもプラスになりやすい Win-Win-Win の構造があることが挙げられます。

消費者にとって

  • 買い物を邪魔しない情報としての広告接触
  • 興味関心に合う製品に出会う機会の増大

広告主(ブランド)にとって

  • 関連性の高いメディアへの露出機会の増大
  • コンバージョン率や費用対効果の向上
  • 購買データの活用

小売事業者にとって

  • 売上以外での収入源の確保
  • ブランドとの関係性強化
  • 販売機会の増大
図にするとこんな感じ。関係者の利得がバランスしやすい構造です。

メーカーではない小売事業者は基本的に利益率はそれほど高くありませんので、本来は固定費になってしまう店舗が逆に収益化することは、ビジネス構造の転換を意味するといっても過言ではありません。

広告主は Google や Instagram といったこれまでのプラットフォームや、Amazonのようなモール以外での信頼性の高いメディアでの配信機会を常に探っていますし、リテールメディアは売上のデータを直接(推定ではなく)把握できるのも大きなメリットです。

消費者は、リテールメディアへ参加する広告主が増えればより関連性の高い商品リストに触れることになります。小売事業者側も広告の挿入によって自社の購買率が下がってしまっては元も子もないので、広告業界で問題になっているようなユーザー体験を損ねるような配信の仕方はしないため、購買体験を邪魔するようなことも少ないでしょう。

結果的に、広告主にとってもブランド毀損の少ない信頼できる配信先になりうるので、大規模な小売サイトであればあるほど、広告費がリテールメディアに寄ってくるという現象が起きます。リテールメディアは購買データを手に入れることができるので、Publisher Trading Desk として広告配信の有力なエージェンシーになることができるのです。(しかも出口戦略が Google に依存しないで済む!)

実際、ウォルマートは既にリテールメディア戦略で一定の成功を収めています。アメリカの広告ビジネスでトップ10プレーヤーになることを目指して「2025年までにメディア売上で100億ドルを超える収益を目指す」と宣言しており、もはやスーパーマーケットではない別の事業体に見えます。

日本でも楽天が RMP(Rakuten Marketing Platform)として活動を強化していますし、リテールメディア戦略はEコマースの隆盛にともなって、今後も活況を呈すことが予想されます。メディアを持つすべての小売事業者にとって、リテールメディアは取り組みやすい時期にきているといえますね!