新規だけでなく、既存顧客への施策を
Shopifyでは「販売チャネル」を追加してストアの流通経路を拡大できる機能があります。
「販売チャネル」とは、GoogleショッピングやFacebookショップなど、自社ストア以外のプラットフォームに接続して、まだストアやブランドの存在をご存じない、新規の見込み顧客に向けて販路を拡大することができる機能です。Shopify の管理画面から比較的スムーズに実装でき、ある程度まで無料でできるため、活用されているマーチャントさんも多いのではないでしょうか。
一方で、すでにストアをご利用いただいている既存のお客さまへの施策はどうでしょう。「メルマガの一斉配信はやっているけど、、、」という事業者さんが実は多いのではないかと思います。
Eコマースに参入する企業が増え、ユーザーの選択肢も同時に増えていく中で、すでに自社の商品を利用いただいているお客さまとの関係性を維持・継続するためには、一人ひとりに合わせたコミュニケーションで、自社ブランドに愛着を持ってもらえるような継続的な接点づくりが重要です。
一般に、既存顧客に再購入してもらうためにかかるコストは、新規顧客と比べて5分の1ほどであると言われています。
既存顧客への施策は、売上拡大のみならず、利益改善のためにも重要であると言えますね。
そこで、この記事では既存のお客さまに向けたロイヤリティプログラムのうち、Shopify で実現できる4つの施策をご紹介します。
1.ポイントプログラム
日本でもっとも利用されている会員向け施策といえば、ポイントプログラムです。
多くのECシステムがポイントを付与、利用できるような機能を有している一方で、Shopifyにはデフォルトではポイント管理の機能が存在しません。そのため、EasyPoints などのポイントアプリを利用することでストアに実装します。
ポイントプログラムは再購入のきっかけをつくる代表的な施策であると同時に、実質的には次回以降の値引き施策でもあります。
濫用すると利益率の低下につながりかねませんので、 ポイントプログラムの提供がお客さまにとって有益であるかどうか、自社の商品の特性やストアのポリシーと照らし合わせたうえで開始するとよいと思います!
2.リワードプログラム
日本のポイントプログラムに代わる海外で一般的な施策が、リワードプログラムです。
ポイントは実質的な値引きですが、対してリワードは、お客さまに金銭とは別の価値を還元するプログラムのことを指します。
たとえば
- 商品購入でポイントを貯めて、限定商品を獲得できる
- 一定の購入金額以上のお客様のみが参加できる限定イベントを開催する
といったことは、単なるディスカウント以上にお客様の満足感を高め、よりブランドへ愛着を持ってもらうことにつながります。
レビューやQ&Aツールで有名な Yotpo. の調査によると、お客さまに好まれるロイヤリティプログラムは、「記念品やギフト品のプレゼン」、「自分に合わせたレコメンド」、「セールへの優先招待」などのようです。割引や送料無料といった金銭的オファー以外を考える際に参考になりますね。
会員ランクのように、お客さまのご利用金額ごとに利用できるプログラムやポイント付与率を変更することも、ロイヤリティを高めるためには有効でしょう。
このようなリワードプログラムをShopifyで実現するアプリは現時点では海外製のものが多く、
などが有名です。
サードウェーブコーヒーで有名な BLUE BOTTLE COFFEE では、自社のメンバーシッププログラム「ブルーボトルメンバー」でポイントを貯めると限定セミナーに招待するなど、ファンのみがアクセスできるコンテンツをリワードとして提供することで、顧客ロイヤリティを高める工夫を行っています。
値引き以外の会員向けプログラムは、財務的な負担を大きく増やすことなく実施できるのが魅力ですね。
3.パーソナライズされたメッセージ
一斉送信ではなく、お客さまのステータスに合わせてメルマガなどを送付することも有効です。
メール配信ツールとして用意されている「Shopifyメール」の場合、配信対象の顧客リストを作成できます。過去のご利用金額などに応じたリストも作成できるため、「重要なお客様リストに対して新商品の先行案内」などもできるでしょう。
また、Klaviyo などのメールマーケティングアプリの中には、先述のリワードプログラムを提供するアプリと連携できるものもあります。
ポイントの有効期限が迫っているお客さまに利用促進メールを送るなど、会員向け施策との相乗効果を狙うことができるようになります。
利用の際は、事前にアプリ間の連携有無を確認しておきましょう。
メール以外では、LINE を活用しない手はありません。
手前味噌ですが、フィードフォースが提供する Shopifyアプリ「ソーシャルPLUS」は、お客さまの LINE ID を Shopify の顧客アカウントと連携できるため、パーソナライズされたメッセージ配信が LINE 上でも行えるようになります。
お客さまが利用しやすい連絡手段はさまざまです。ストアの適性に合わせて活用したいですね。
4.リファラルプログラム
UberEats などのデリバリーアプリを利用する際、会員登録時に紹介コードを入れるとクーポンが付与される、というプログラムを使ったことがある方もいらっしゃると思います。
お客さまに新たなお客さまを紹介してもらうことを促すため施策をリファラルプログラムと呼びます。紹介しやすい商材を取り扱っているストアであれば、検討する価値のある施策です。
リファラルプログラムを実現するためには、LoyaltyLion や Smile のほか、Referral Candy というアプリを使います。
ロイヤリティ施策は「お客様が利用しやすいかどうか」
ここまで説明してきた4つのロイヤリティ施策を検討するにあたって共通する重要な点は、その施策がお客さまにとって有益で、利用しやすいかどうかだと思います。
前掲のYotpo.の調査によると、
- ポイント獲得の手段が限定されている
- リワードの内容が魅力的でない
- リワードの利用が難しい
- 店舗、ECのどちらかだけでリワードが利用できる
などの場合、そのロイヤリティ施策に不満を感じやすいとのことです。
「店舗、ECのどちらかだけでリワードが利用できる」という回答は、Eコマースがプライマリになった現代だからこそ顕在化してきた問題です。
店舗とオンラインが連携していないがゆえに一貫したロイヤリティ施策が打てない、という状況を回避するためには会員情報の一元化が必要ですが、Shopifyでは、
- Shopify POSで店舗のPOSを運用する
- Shopify-スマレジ間会員情報連携アプリ「Omni Hub」を利用する
ことで、会員情報をかんたんに一元化できます。(またもや手前味噌ですみません!)
なお、ロイヤリティ施策がどの程度利用されているかどうかについては、今回ご紹介したそれぞれのアプリ上でも確認できます。想定どおり利用されているか、お客さまの役に立っているか、定期的に検証してみてください。
ロイヤリティの醸成には、利用するアプリやツールのみならず、「お客様はどのように自社のことを知り、どれくらい愛着を持ってもらえているのだろうか」「より一層ファンになってもらうためには、どのようなことを行うとよいのだろうか」ということを継続的に自問することが大事です。
その自問が単なる思い込みで終わらないよう、お客さまがどのように行動しているか、どのような商品が売れているのかなど、さまざまな角度から分析することが必要になってきます。
分析は、Shopify純正のレポート機能やGoogle アナリティクスで行えるほか、Segments Analytics などの Shopify 向けの分析アプリも存在します。
ユーザーの行動を分析することでお客様の行動をより深く理解し、効果的なロイヤリティ施策を行っていきましょう!