【今日のひとこと】Shopifyが「JAPANブランド育成支援等事業」の支援パートナーに選ばれたそうですー!

Instagramがインフルエンサーの収益強化に本腰 〜ポストクッキー時代の新たなアフィリエイト像

2021年6月8日(日本時間で6月9日)、Instagram は自社のプラットフォーム上で活躍するクリエイター/インフルエンサーの収益性を引き上げる3つの手段を新たに開始すると発表しました。

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すでにテスト提供されている機能も含め、多くのフォロワーを持つアカウントだけでなく、大小あらゆる段階をサポートすると発表しています。

ショップ、投げ銭、アフィリエイト

 

発表されたのは、ざっくりいうと「ショップ機能」「投げ銭(バッジ)」「アフィリエイト」の3つです。順に見ていきましょう。

ショップ機能

ショップ機能は2020年5月から利用可能になっている Instagram Shop と中身は基本的に変わりませんが、これまではビジネスプロファイルである必要があったのが、個人プロファイルで販売リンクが利用できるようにアップデートされました。全世界共通なので、日本のアカウントも適用されています。

また、インフルエンサーが既存の製品を紹介するのではなく、新たにブランドを立ち上げたり限定商品を販売したりもできます。Bravado/UMG、Fanjoy、Represent、Spring という4つのパートナー経由で Instagram上にショップを開設できるそうです。(こちらはアメリカのみ年内に提供予定)

これは、コマースの裾野が拡大し、徐々に主役が法人→個人へシフトしていく象徴的なアップデートだと思います。今までも C2C のビジネスは活況を呈していましたが、ソーシャルど真ん中の Instagram がようやくコマースの主体を個人へと拡大したことで、これまでの流れがより確定的になったように感じます。

 

投げ銭(バッジ)

バッジ機能は要するに投げ銭機能(YouTubeでいうスーパーチャット)のことで、すでに一部のクリエイター向けにテストが行われていました。2020年10月の発表以降、1ライブあたり複数バッジを購入できるようにしたり、アーカイブ配信へのスター機能のテストなど、継続的なアップデートが行われています。

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今回はこの投げ銭をより促進するため、所定の条件を満たすと Instagram から一定の金額が支給されるプログラムを開始して、ライブ配信をより一層活発化させる目論見のようです。バッジ機能が使える国と地域で同時展開されるとのこと。日本も対象に入っていますね。

 

 

具体的な金額ですが、ライブを1週間あたり15分以上配信すると100ドル(4週間続けると250ドル)、30日あたり(他のアカウントとコラボで)30分以上配信すると150ドルが Facebook からインフルエンサーに直接支払われるそうです。

筆者はおじさんなのでこういうのを見ると「うわ、世知辛…」と思ってしまいますが、同時にファンとアーティストが直接ライブで繋がれる世界というのはとてもよいなあとも感じますので、やはりショップと同様に不可逆な流れなのだろうと思います。

アフィリエイト

今回の発表で個人的にいちばん気になっているのはこのアフィリエイト機能です。今後数ヶ月以内にアメリカでテストが開始され、段階的に拡大していく予定とのこと。2021年4月末のライブストリームでザッカーバーグが「アフィリエイトやるよー」と言ってましたが、いよいよ来たかーという感じがします。

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アフィリエイトという名のとおり、インフルエンサーはアプリ内で決済まで可能な商品をタグ付けし、それが実際に売れるとコミッションを受け取れるようになります。投稿には「Eligible for commission」というタグがつけられるので、ユーザーからもアフィリエイトポストだと分かるようになっています。

初期テストに参加する企業は Benefit、Kopari、MAC、Pat McGrath Labs、Sephora など、コスメ系のブランドが主体のようです。消費と相関の高いビューティー系のインフルエンサーでどれだけ数字が動くかを見たいのだと思います。

 

 

ポストクッキー時代のアフィリエイト

Instagramが直接アフィリエイトに乗り出した背景には、やはり昨今のサードパーティCookieをめぐる規制の強化が関係していると考えられます。

一般に、アフィリエイト広告を掲載するパブリッシャー(アフィリエイター)は、自分のサイトにASPから提供されたアフィリエイトリンクを貼り、それを通じて発生した売上のコミッションによって収入を得ています。このリンクがASPのサーバーへ転送される過程で発行されたサードパーティクッキーがトラッキング(≒売上の計測)として使われていました。

ただ、残念ながらすでにブラウザがサードパーティクッキーを無効化する期限は決まっていますし、制限そのものは現在も進行中です。アフィリエイトの提供会社はこの流れに対応するため様々な対策をこれまで実行してきました。

詳細は省きますが、今のところどんなにがんばってもトラッキングできる日数は最大で7日間ですので、やはりアフィリエイター、プロバイダ、広告主それぞれに「本当にこれで合ってるのか」感は常につきまといます。技術的な対応も必要になり、計測の正確性は永遠に担保されないことから、従来型のアフィリエイトは受難の時代を迎えています

プラットフォーマーによるアフィリエイト

クッキー規制でアフィリエイトプロバイダを始めとしたサードパーティの身動きがとりにくい状況下では、ファーストパーティとしてユニーク(一意)なアカウント情報を持つプラットフォーマーが胴元になっていく流れが活発になっていきます。(汎用的な意味での)IDを持つプレイヤーの優位性が高まっていくことになるでしょう。

今回の Instagram の発表で感じるのは、アフィリエイトやショップ、バッジの活性化による決済収益の増加はもちろんのこと、それらの発生を自社のプロパティですべて把握できるようにするぞという強い意思です。

Cookieにトラッキングを依存できない以上、広告ビジネスには常に外部からの抵抗がかかりますが、売上の貢献度を紐付ける仕組みさえ作ってしまえば、軸となるアカウントの数はまだまだ圧倒的なシェアを持っていますし、その活用はソーシャルネットワークだからこそさまざまな横展開が可能です。今回の発表は、Google以上に「広告しかない」と揶揄されてきた Facebook/Instagram が次のステージに向かうための第一歩なのかもしれません。

広告でもライバルになりつつある Amazon も、自社の広告はファーストパーティであり、売上もすべて自社のプロパティ内で発生するため広告経由の売上を正確に把握できます。そして決済までシームレスに抑えているので ROI が高い。広告売上で Google と Facebook の2強はどんどん追い上げられていますが、その加速度の差は、ECと広告メディアの融合度の差だといえます。Instagram がやりたいことはおそらくこのソーシャルバージョンなんだろうなと思います。(むしろ採れる選択肢は Amazon より多いかも)

Eコマースとソーシャルネットワーク、入口のアプローチは違いますが、登っていく山は実は同じなのかなと、そんなことを考える今回のリリースでした。Amazonも自社専用のIDを準備中という噂もありますし、2020年代は、プラットフォームが自社のアカウント(ID)をいかに総合的に活用していくのかを試される、ID Era(IDの時代)になるような気がします!