【Shopify CHANGELOG】Shopify POS 2026春の最新アップデートまとめ:ピックアップ注文・Tap to Pay・割引フロー改善で実店舗運営がより柔軟に

2026年3月、Shopify POSが相次いでアップデートされました。v11.1からv11.3にかけてリリースされた今回のアップデートは、実店舗を運営するマーチャントにとって直結する改善が多く含まれています。「ピックアップ注文をPOSから作れるようになった」「タッチ決済が複数法人でも使えるように」「割引コードを探して手入力する手間が減った」など、日々のオペレーションをスムーズにする内容が揃っています。

なお、今回のアップデートの中には日本では利用できない機能が含まれています。各機能の日本での対応状況は、記事末尾の「注意点・懸念点」にまとめていますので、あわせてご確認ください。

本記事では、今回のアップデートの中から特に実務への影響が大きいものをピックアップして紹介します。

機能の概要:アップデートまとめ

店頭からピックアップ注文を作成できるようになった(v11.3)

これまでShopify POSでは、オンラインで受け付けたピックアップ注文を店舗側で「準備して受け渡す」フローが中心でした。今回のアップデートにより、POS上から直接ピックアップ注文を作成できるようになりました。

たとえば、「お取り寄せ」「お直し・カスタマイズが必要な商品」「今日は在庫がないが入荷したら引き渡す商品」など、その場で渡せない商品を受注するシーンで力を発揮します。スタッフはチェックアウト時に「ピックアップ」を選択し、商品が準備できた段階でPOS上の「ピック&パック」フローで対応できます。

via:https://www.shopify.com/blog/retail-release-roundup

利用開始に必要な設定: ストアで「店頭でのピックアップ」フルフィルメント方法を有効にする必要があります。また、どのスタッフがピックアップ注文を操作できるかは、管理画面の「販売チャネル > Point of Sale > スタッフ権限」から制御できます。

複数法人でもTap to Payが利用可能に(v11.3)

Shopify Plusを利用していて、複数の法人・事業体でShopify Paymentsを使っているマーチャントに嬉しいアップデートです。これまでTap to Payの設定は事業体(エンティティ)ごとに手間がかかっていましたが、今回から「設定 > 支払い」の画面でまとめて設定できるようになりました。

複数の店舗・事業体を持つブランドが、各拠点で統一した「カードをかざすだけの決済体験」を提供できるようになります。

利用開始に必要な設定: POS v11.3、かつShopify PaymentsとTap to Payの設定が必要です。iPhoneの場合は「設定 > 支払い > Tap to Pay on iPhone」の手順に従ってください。※日本では現在利用できません(詳細は注意点を参照)。

オフライン時でも決済認証が継続できる「常時オンカード認証」(v11.3)

「POS Terminalでオフラインチェックアウトを有効にしている場合、Shopifyへの接続が一時的に切れてもカード決済を継続できる」という機能です。ネット回線が不安定な環境でも、POS Terminalが直接決済ネットワーク(決済処理会社)とカード情報を照合することで、決済をスムーズに継続できます。

チェックアウトの流れに変化はなく、スタッフ側での特別な操作も不要です。回線障害時の売上機会損失を減らしたいマーチャントには有効な選択肢です。

利用開始に必要な設定: POS v11.3、POS Terminalデバイス、Shopify Payments、オフラインチェックアウト設定が必要です。※日本では現在利用できません(詳細は注意点を参照)。

割引コードの入力・適用がスムーズになった(v11.2)

日々のレジ業務において、割引コードの打ち間違えや「どのコードを使えばいいかわからない」という場面はよくあります。今回のアップデートで、Smart Gridエディターで割引タイルを作成する際にコードをドロップダウンから選べるようになりました。手入力が不要になり、新人スタッフや繁忙期のヘルプスタッフでもミスが起きにくくなります。

POSアプリ側でも割引コードを探すフローが改善され、最近使ったコードへのアクセスが速くなっています。数字キーボードも改善されており、手入力時もよりスムーズです。

via:https://www.shopify.com/blog/retail-release-roundup

なお、割引コード機能はPOS Proプランの機能です。

スタッフごとに顧客情報の閲覧を制限できるように(v11.1)

プライバシー対応や個人情報管理の観点から、「販売スタッフには決済処理だけさせたい。顧客の名前・住所・メールアドレスは見せたくない」というニーズに応える機能です。

「顧客詳細の閲覧」権限をオン・オフすることで、スタッフが通常通り商品の追加や決済処理を行いながらも、顧客の個人識別情報には触れない設定が可能です。パートタイムスタッフの多い業態や、データ保護方針が厳しい企業に特に有効です。

活用シーン:こんなマーチャントに特に刺さるアップデート

今回のPOSアップデートは、以下のような運営スタイルのショップで特に効果を発揮します。

シーン対応するアップデート
受注生産・お取り寄せ商品を扱う店舗POSからのピックアップ注文作成で受注から受け渡しまで一元管理
複数ブランド・複数事業体を持つ企業Tap to Pay・Multi-entity対応で管理・決済を統合(※日本除く)
割引施策を頻繁に使う季節商品店舗割引コードのドロップダウン選択で入力ミス・確認ミスを防止
店舗回線が不安定な環境(イベント出店など)常時オンカード認証でオフライン時も決済継続(※日本除く)
パートタイムスタッフが多い店舗顧客情報閲覧制限で個人情報ガバナンスを強化

このアップデートが解決する課題

課題今回のアップデートによる改善
在庫がない商品の受注がPOS上でできなかったピックアップ注文機能で、店頭で受注し、後日(入荷後)の受け渡しをPOS上で一元管理できる
複数拠点でのTap to Pay設定が煩雑だった管理画面からまとめて設定・オンボーディングが可能に(※日本除く)
割引コードの打ち間違えでレジが詰まるドロップダウン選択と最近使用コード優先表示でスピードアップ
回線トラブル時に決済が止まっていた常時オンカード認証で回線依存を軽減(※日本除く)
スタッフの情報アクセス権限を細かく制御できなかったロールに応じた顧客情報閲覧制限が可能に

注意点・懸念点

日本での対応状況について

今回のアップデートの中には、日本では利用できない機能が含まれています。その背景として、まず重要な前提を把握しておく必要があります。

日本ではShopify PaymentsがPOS(店頭決済)に対応していません。 オンラインストアでは利用可能ですが、実店舗での対面決済にはサードパーティの決済処理業者を別途導入する必要があります。この制約から、Shopify Paymentsを前提とする機能は日本では利用できません。

機能日本での対応理由
Tap to Pay on iPhone❌ 利用不可対応国はUS・CA・EU圏・AU・NZのみ
Tap to Pay on Android❌ 利用不可対応国はUS・CA・EU圏・AU・NZ・SGのみ
複数法人向けTap to Pay❌ 利用不可Tap to Pay自体が日本非対応のため
常時オンカード認証❌ 利用不可Shopify Payments(POS)が必須のため
ピックアップ注文の作成✅ 利用可能地域制限なし
Epson TM-T88プリンター対応✅ 利用可能地域制限なし
割引コードのドロップダウン選択✅ 利用可能地域制限なし(POS Pro必須)
デバイス間カート帰属✅ 利用可能地域制限なし
顧客情報閲覧権限の制限✅ 利用可能地域制限なし

※ Epson TM-T88プリンター対応・デバイス間カート帰属は本記事では詳細を割愛していますが、いずれもv11.2〜v11.3で提供された機能で、日本での地域制限はありません。

その他の注意点

  • ピックアップ注文(v11.3)は現時点で現在地ロケーションのみ対応。他ロケーションへのピックアップ指定は今後の対応を待つ必要があります。
  • 割引コードのドロップダウン機能はPOS Proプランのみ利用可能です。

まとめ:実店舗のオペレーションに直結する改善が揃ったアップデート

今回のShopify POS(v11.1〜v11.3)のアップデートは、新機能というよりも日々のオペレーションの摩擦をひとつひとつ取り除く改善が中心です。

  • ピックアップ注文を店頭から作れるようになった
  • 複数法人でもタッチ決済が使いやすく(※日本除く)
  • 割引コードの適用ミスが減る
  • オフライン時の決済継続性が上がった(※日本除く)
  • スタッフの情報アクセスをきめ細かく管理できる

実店舗を持つShopifyマーチャントにとって、今すぐ確認しておく価値のある内容です。まずはご自身のPOSアプリのバージョンを確認し、v11.3へのアップデートを検討してみてください。


参考リンク(出典)

Shopify 公式情報