「新しいお客様アカウント」について聞いてみた~Shopify初心者の学び道中

Shopifyで1年ほど前から利用可能になっている、「新しいお客様アカウント」。従来のものから切り替えたらどういう影響があるのでしょうか。Shopify初心者・JackyがHideさんに質問してみました。

 

質問に答えてくれた人:Hide=加藤 英也 株式会社リワイア 代表取締役

海外の大学を卒業後、株式会社サイバーエージェントにて営業からエンジニアに転向。広告の配信システムやターゲティングシステムの開発に従事。その後、三井物産子会社である株式会社 Legoliss 取締役として CDP・データ分析ビジネスの開発を担当。2020 年 12 月にフィードフォース子会社のリワイアへ参画(取締役)、2022 年 3 月より代表取締役(現任)。Shopify におけるコマーステック領域にてアプリ開発や各種インテグレーション事業を展開。

 

1.「新しいお客様アカウント」はなぜ登場した?

Jacky:Shopifyの管理画面に現れた、「新しいお客様アカウント」への切り替え表示。切り替えるときっと新しい機能になるんだろうな……ということは分かるのですが、なぜ従来のものからアップデートしなくてはならなかったのでしょうか?

Hide:新しいお客様アカウント」は、リリースされたことでB2Bのシーンでの課題を解決しています。B2Bの場合、相対する顧客は企業の従業員になりますよね。その購入担当者が退職したあとのアカウントの管理に難がありました。退職し、購入する権利がなくなった後も、有効ではなくなったメールアドレスとパスワードの文字列が一致するとログインすることができてしまう……といった問題に対して、「新しいお客様アカウント」は現在有効なメールアドレスのみログインできる仕組みで対応しています。

Jacky:確かに、退職者がそのままログインできてしまうのはリスクがありますね。

Hide:IDとしてのメールアドレスとパスワードが一致するとログインできる状況は、その情報を知っていれば「なりすまし」が不当に購入できる可能性をはらんでしまいます。マーチャント側が一つひとつのアカウントをチェックするのも現実的ではありません。

B2B on Shopifyでは、一昨年から先行して「新しいお客様アカウント」のみで対応しています。B2B on Shopifyを使用するには、新しいお客様アカウントでの運用が必須です。

 

Jacky:「新しいお客様アカウント」へのアップデートはセキュリティ向上の目的があった、ということですね!ほかにも新機能はあるのでしょうか?

Hide:新たに、マイページ上での返品処理ができるようになります。顧客のログインに合わせて、返品処理がマーチャント側の作業で可能です。よりスムーズな対応を実現します。

  • 新しいお客様アカウントは「なりすまし」を防止
  • B2B on Shopifyは既に新しいお客様アカウントでのみ運用
  • 新しいお客様アカウントはマイページでの返品処理が可能

 

2.新しいお客様アカウントと従来のお客様アカウントの違い

Jacky:セキュリティがアップしたり、マイページでの機能向上したりと、新しいお客様アカウントの利点は理解しました。それ以外で変更となる部分はあるのでしょうか?

Hide:まず、新しいお客様アカウントの仕組みからお話ししましょうか。新しいお客様アカウントは、ログインするとShopifyのマイページと結びつきます。顧客は、Shopifyに登録済みのメールアドレスに送信された6桁のワンタイム認証コードを利用することでログインが可能です。

Jacky:実際に利用中のメールアドレスに届くワンタイム認証コードでログインできるのは、顧客側としても難しくなくて良いですね。

Hide:ただ、新しいお客様アカウントは従来のものと違って、テーマのマイページには実装されません。なので、Liquidによるカスタマイズができなくなっています。合わせて、マルチパスにも対応していませんね。

Jacky:なるほど……。新しいお客様アカウントと従来のものとの違いは、以下のようなかたちになる、ということですね。

新しいお客様アカウント従来のアカウント
ワンタイム認証コードでログイン、
Shopifyのアカウントページと紐づく
メールアドレス&パスワードの一致でログイン
なりすまし防止でセキュリティアップなりすまし対策✖
マイページでの返品処理を実現マイページでの返品処理✖
LiquidによるマイページのカスタマイズはできないマイページをLiquidでカスタマイズできる
マルチパスに対応していないマルチパスに対応

 

3.新しいお客様アカウントへ切り替える注意点

Jacky:マイページがカスタマイズができない、となると今カスタマイズしているマーチャントはまだ従来のものから移行しない方が良いですよね?

Hide:そうなりますね。合わせてLINEでのログインを実施しているなど、シングルサインオンでのマルチパスを取り入れている大きいマーチャントも対応不可なので、移行は留まった方が良いと思います。

Jacky:セキュリティアップなど利点もあるけれど、現状ではまだ移行しない方が良いストアも多数あるということですね。

Hide:ただ、マイページのカスタマイズは今後アプリによって対応できるようになってくる見通しです。「新しいお客様アカウント」ページへの拡張機能の構築や、見やすい注文アクションの追加などを開発パートナーが実装できる機能をShopifyは準備しているようです。なので移行を検討しているマーチャントは、アプリが新しいお客様アカウントに対応するのを待つのが良いでしょう。

  • マルチパスを取り入れているストアは移行✖
  • マイページのカスタマイズは現状できないのでまだ移行は✖
  • カスタマイズ対応は今後アプリにて対応可能となる見込み

 

4.新しいお客様アカウント、今後の展開は?

Jacky:マイページのカスタマイズ、今後アプリで対応できるようになる可能性とは、どういうことでしょうか?

Hide:現在Shopifyは、Customer Accounts Extensibilityという新機能をDeveloper Previewで公開しています。まだ開発段階で正式には利用できない状態ですが、こちらの機能を利用することでアプリ側からマイページへのカスタマイズが実現できるようになります。

 

Jacky:なるほど、Liquidによる直接編集はできないけれどCustomer Accounts Extensibilityに対応しているアプリを導入することでカスタマイズは実現可能となるわけですね。

あれ、これってチェックアウト拡張の機能と似た構造のような……。

Hide:はい、Checkout and Customer Accounts Extensibilityと同じです。カスタマイズをアプリからに制限することで、Shopifyのアップデートによる不具合や不正なコードを防ぐ意図があります。

 

Jacky:ここにもセキュリティアップの側面があるんですね。ということは、移行した方がより多くのストアに利点がありそうです。Customer Accounts Extensibilityの公開が待ち遠しく感じますね……!

  • Customer Accounts Extensibilityが現在Developer Preview
  • 今後、各アプリが新しいお客様アカウントに対応していく流れ