Shopifyがチェックアウトのカスタマイズを行う仕組み「Checkout Extensibility(チェックアウト拡張機能)」を発表しました。これに伴い、従来のcheckout.liquidは2024年8月にその役目を終えます。しかし、「自分のストアにどんな影響があるのだろう?」と疑問に思っているマーチャントの方も多いかもしれません。
この記事では、checkout.liquidがなぜ終了するのか、そしてCheckout Extensibilityを活用することがどういう意味を持つのかについて、皆さんの次の一手を考えるのに役立つ情報をお届けします。
- Shopify Plusマーチャントである
- チェックアウトプロセスをブランド独自のスタイルでカスタマイズしている
- 顧客のチェックアウト体験を向上させたいと考えている
これらに心当たりがある方は、ぜひこの記事を読み進めて、次世代のチェックアウトの導入を始めてみてください。
※Checkout ExtensibilityはCheckout and Customer Accounts Extensibilityへとアップデート予定です。この記事内はCheckout Extensibilityの名称のまま解説を進めています
1.checkout.liquidが終了。影響範囲は?
これまで、チェックアウト画面のカスタマイズは、Shopifyへ申請を行うことでShopifyPlusストアでのみLiquidを使用して行うことができました。これは「checkout.liquid」として知られていますが、2024年8月にこのシステムは終了する予定です。
この変更に対応するため、Shopifyは既に「Checkout Extensibility」という新しいシステムを発表しています。現在checkout.liquidを利用しているストアは、この新システムへの移行が必要です。8月にはcheckout.liquidのサポートが終了し、放置しているとストア独自のカスタマイズが無効化されてしまうことになります。
特に影響を受けるのは、以下の2つの条件に当てはまるマーチャントです。
- Shopify Plusのマーチャント
- checkout.liquidを使用してチェックアウト画面をカスタマイズしているストア
これまで作り上げてきたストアの個性とブランドイメージを守るためには、新しいCheckout Extensibilityへの移行が必要となります。
2. なぜシステムは変更される?
なぜcheckout.liquidが終了するのか、その理由を掘り下げてみましょう。
checkout.liquidはショップのチェックアウトページをコードを直接編集することでカスタマイズする仕組みですが、この「直接編集」の部分に課題がありました。具体的には、以下のようなリスクが考えられます。
- 顧客情報に不正アクセスする悪質なコードの埋め込み
- Shopifyのアップデートに伴う問題(コード間の干渉)
これらの問題を解決し、より安全なシステムを実現するために「Checkout Extensibility」が登場しました。
Checkout Extensibilityは、カスタマイズをアプリを通じて行うことで、これらのリスクを排除しています。アプリがShopifyとマーチャントの間の架け橋となることで、安全性が向上するのです。
Checkout Extensibilityのメリットは以下の通りです。
- Shopifyとアプリ間の安全なやり取り
- 非技術者でも容易にカスタマイズが可能
- Shopifyのアップデートにアプリが対応
一方でデメリットとしては
- マッチするアプリがアプリストアに存在しない場合、カスタムアプリの開発が必要
- Liquidでの実装ができない
という部分がハードルとなる可能性があります。
ShopifyがCheckout Extensibilityを通じて提供するのは、スピーディーかつ柔軟なチェックアウト体験です。これにより、顧客に対してより優れたショッピング体験を提供することが可能になります。
3. カスタマイズはどう切り替わっていく?
ショッピング体験の最適化に向けたチェックアウトのカスタマイズが、どのような要素で実装されているかみてみましょう。
具体的な例としては、
- 日本の住所表記や姓名のカナ表記
- 代金引換への対応
- 配送日時の選択
- ブランドイメージに合った色やフォントの変更
などが挙げられます。加えて、集合住宅の部屋番号を忘れることなく入力させるための注意喚起なども、チェックアウト画面の重要な機能の一つです。
これらのカスタマイズは、2024年8月までにCheckout Extensibilityへ移行する必要があります。Checkout Extensibilityには、様々なカスタマイズ要素が含まれており、その具体的な対応策は以下の通りです。
- チェックアウト画面のカスタマイズ: Checkout UI extensionsを使用して、チェックアウトに追加コンテンツや注意事項を表示し、統一感のある体験を実現します。
- 色やフォントの変更: GraphQL Admin API(Checkout Branding API)を活用して、チェックアウトとShop Payのスタイルをカスタマイズできます。
- 配送や決済のロジック変更: Shopify Functionsを用いて、注文、商品、配送に関する割引などのカスタマイズを行います。
- チェックアウト完了後のカスタマイズ:Thank you and order status extensionsの利用で、サンクスページとオーダーステータスページに追加コンテンツなどを表示できます。
このように、個々のニーズに合わせたCheckout Extensibilityへの移行を計画し、ショップの顧客体験をさらに向上させることが鍵となります。集客や売上の増加に直結するこのプロセスの最適化は、オンラインショッピング体験全体の質を高めることにもつながります。
4.Checkout Extensibilityへ切り替えるためには
もし現在Shopify Plusのマーチャントであれば、チェックアウトプロセスの状況整理を優先して行うことを強くおすすめします。特に、checkout.liquidの編集を通じてカスタマイズを行っている場合、Checkout Extensibilityへの移行を早急に検討する必要があります。
このプロセスを始めるためには、まずストアを構築した技術担当者と現在のチェックアウト画面にどのようなカスタマイズが施されているかをしっかりと把握しましょう。その上で、継続して利用したい機能に適したアプリを見つけ出すことが次のステップとなります。
カスタマイズの内容によっては実装に時間がかかるため計画的に進めることが肝心です。適切なアプリやツールの選定は、顧客体験の向上と効率的な業務運営の両方に貢献します。Shopify Plusを最大限に活用し、より良いオンラインストアを構築するための一歩として、ぜひチェックアウトプロセスの見直しを検討してみてください。
アプリストアには多くのチェックアウト拡張に対応したアプリが存在します。国内のアプリはまだ数が少ないですが、今後多くのニーズに対応したアプリが登場してくると思われます。
- あとプラ(Rewire Inc.)
- Custom Checkout & Discounts(Future AI)
- Magical Order Form Fields(Magical Apps)
- In Cart Upsell Checkout Upsell(Amote)
- Checkout Bear(Conversion Bear)
- UpsellPlus Checkout Upsell(UpsellPlus)
- AfterShip Personalization(AfterShip & Automizely)
チェックアウトのカスタマイズの内容について不安がある場合や、希望の機能を搭載したアプリが公開されていない場合は、Checkout Extensibility移行支援のサービスも検討してみてください。ビジネスの状況に応じたソリューションを検討することが可能になるでしょう。